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練習曲 上級(11~15)

チェルニー 50番

ツェルニー50番
作曲者チェルニー, カール(1791~1857)
出身国オーストリア
難易度上級11~12
形態一般型

概要・特色

チェルニーはオーストリア・ウィーン生まれの音楽家ですが、父はボヘミア、母はモラヴィア出身の移民でした。

学校に通うことはなく、父親からピアノの手ほどきを受け、幼いころから才能を開花させます。
9歳の時にはすでにモーツァルトの協奏曲を弾き、ベートヴェンと面会、その後3年間にわたってベートーヴェンのもとでピアノの研鑽を積みながら、師の作品研究にも没頭しました。

神童として演奏活動をスタートさせましたが、元来社交的ではなかったチェルニーは、演奏家より教育家・作曲家としての活動のほうが自分に向いていると思ったようです。
15歳の時からピアノを教え始め、やがて「最高のピアノ教育者」としての評判が知れ渡ると、各国から優秀なピアニストがチェルニーの門下に集まります。1822年にはフランツ・リストが入門し、技巧面のみならずあらゆる角度からの音楽教育をチェルニーはリストに施したと言われています。

少年リストのたぐいまれな才能に、チェルニーは賛辞を惜しまなかったようです。短期間ではありましたが、レッスンは住み込み・無償でおこなわれました。リストはチェルニーに感謝の念を忘れず、後の自身の作品「超絶技巧練習曲集」(1851)をチェルニーに献呈しています。

原題を『Die Kunst der Fingerfertigkeit(指の熟達法)』とする「チェルニー 50番」は、「チェルニー 40番」で磨いた技法をさらに発展させ、熟達をめざす練習曲です。

50曲中、速度が緩やかな曲は第26番ただ1曲のみ(Lento Moderato)。それも、緩やかなテンポのなかで分散和音が華麗にちりばめられ、できるだけ軽く速く弾くようにと指示がでています。
40番と比べると扱う音域が格段に広くなり、オクターブの跳躍練習も増えていることから、上級者向けの練習曲とされています。
50番の目標を象徴的にあらわしているのが、「Bravour (ブラヴ―ラ)」という言葉です。すなわち、「華麗に」「勇敢に」弾きこなす技巧を身につけること。

ベートーヴェンに学びリストを育てたチェルニーにとって、超絶技巧完成のための練習曲を書くことは、伝統をつなぐ者としての強い使命感があったのではないでしょうか?膨大な数の練習曲・作品群がそれを物語っているように思えます。

楽譜情報